農地の購入条件|農家以外の個人は買える?裏ワザの正体
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📑 目次
※本記事はプロモーションを含みます。
農家以外の個人でも、農地は買える。条件は農業委員会の許可(農地法3条)で、2023年4月に面積の下限は廃止されたが、全部効率利用・農作業常時従事・地域との調和の3要件は残っている。「裏ワザ」と呼ばれているものは、違法か、すでに廃止された古い情報のどちらかだ。
さいたま市の農業委員会は公式ページに「令和5年度法改正により、農業従事者以外の方が家庭菜園などを目的に農地を取得できるようになりました」と書いている。
ただ、農地は「買うのが難しい」以上に「手放すのが難しい」土地だ。
買う前に、その順番で考えてほしい。
先に結論。農地購入の4原則
① 買えるが、農業委員会の許可が要る。農地法3条の許可を受けずにした売買は、契約書があっても法律上「効力を生じない」(農地法3条6項)。所有権は動かない。
② 2023年4月に消えたのは「面積の下限」だけ。旧・都府県50a/北海道2haの下限面積要件は廃止された。だが全部効率利用・農作業常時従事・地域との調和の3要件は今も残っている。
③ 「裏ワザ」の正体は4つとも外れ。名義貸しは3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(農地法64条)、地目を変えて逃げる手は現況主義で通らない、転用狙いは青地で止まり、「農地付き空き家の下限面積の特例」は2023年に制度ごと消えた。
④ 値段は10aで全国平均103万1千円。ただし借りれば同じ広さが年2千円〜2万円台。「買うより、まず借りる」が正解になる人のほうが多い——これが私の結論だ。
⚠️ 本記事は2026年9月9日時点で公開されている法令・公的資料をもとにした一般的な整理です。農地制度の運用、申請の締切、税の特例の適用期限は市町村ごと・年度ごとに変わります。実際の取得可否は、必ず買いたい農地がある市町村の農業委員会でご確認ください。
この記事でわかること
- 「農地法3条の許可」の3要件と、2023年4月の改正で変わったこと・変わらなかったこと
- 「裏ワザ」4パターンの正体と、農家以外の個人が現実に通れる入口3つ
- 10a当たりの農地価格、手続きの期間、登記・税金、補助金の有無
まず値段。10aで全国平均103万1千円、ただし31年下がり続けている
一般社団法人全国農業会議所が2026年3月19日に公表した「令和7年田畑売買価格等に関する調査結果」(調査時点は令和7年5月1日・70回目の調査)によると、純農業地域——都市計画法で市街化区域と市街化調整区域の線引きをしていない市町村——の農用地区域内の農地価格は、全国平均で中田103万1千円、中畑76万3千円(いずれも10a当たり)。
10a=1反=1,000㎡=約300坪だ。
| ブロック | 中田(10a) | 中畑(10a) |
|---|---|---|
| 全国平均 | 103万1千円 | 76万3千円 |
| 北海道 | 23万5千円 | 11万2千円 |
| 東北 | 48万5千円 | 29万4千円 |
| 関東 | 137万5千円 | 149万8千円 |
| 東海 | 192万8千円 | 169万8千円 |
| 北信 | 122万8千円 | 86万4千円 |
| 近畿 | 175万6千円 | 122万2千円 |
| 中国 | 65万7千円 | 39万2千円 |
| 四国 | 154万3千円 | 87万1千円 |
| 九州 | 70万8千円 | 49万円 |
| 沖縄 | 83万7千円 | 121万4千円 |
北海道の畑は11万2千円、東海の田は192万8千円。全国平均だけで相場を語っても、ほとんど意味がない。
この価格は平成7年以降31年連続で下落している。
最高値だった平成6年(中田200万2千円)と比べると48.5%安い。
下落理由の第1位は「農地の買い手の減少や買い控え」で、中田35.4%、中畑41.1%。
次いで「後継者不足」(中田25.4%)、「離農による過疎化」(中田9.6%)と続く。
市街化調整区域の農用地区域(都市的農業地域)では、買い手の減少が中田53.2%・中畑55.2%で過半だ。
焦って飛びつく必要はない。
農地法3条の許可——「金」ではなく「耕す気」を審査される
農地の売買には、農業委員会(市町村)の許可が要る。
根拠は農地法第3条第1項で、賃借権や使用貸借の設定も同じ許可の対象になる。
第一項の許可を受けないでした行為は、その効力を生じない。(農地法第3条第6項)
契約書を交わし、代金を払っても、許可がなければ所有権は動かない。
上越市の農業委員会も「この許可を受けないでした行為は、無効となります」と明記している。
農地法第64条第1号により、無許可の権利移動には3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金が定められている。
農地法3条2項の不許可事由のうち、個人に効いてくるのは主に3つだ。
① 全部効率利用要件(3条2項1号) 今回買う農地を含め、持っている農地・借りている農地の全部を効率的に耕作すると認められること。
さいたま市は「所有または借りている農地、および今回の申請地が適切に管理されている必要があります」とし、管理されていない農地があれば是正が先だとしている。
② 農作業常時従事要件(3条2項4号) 本人または世帯員等が農作業に常時従事すると認められること。
実務上の目安は原則、年間150日以上だ。
ただしさいたま市は「年間150日以下の農作業で十分に耕作できる場合などは年間150日を下回っていても要件を満たしていると認められる場合があります」としている。150日は絶対の足切りではなく、面積と作物に見合っているかの判断だ。
③ 地域との調和要件(3条2項6号) 周辺の農地の効率的・総合的な利用に支障を生じないこと。
さいたま市は「申請地が地域計画内にある場合、その地域の担い手として位置づけられていない方からの申請にあたっては協議が必要となり、計画の達成に支障が生ずる恐れがあると認められる場合は許可することはできません」としている。
市町村が2025年3月末までに作った地域計画には、一筆ごとに10年後の耕作者を書き込んだ目標地図が付いている。
だから土地探しより先に、市町村の農政担当と農業委員会に相談する意味がある。
なお「資格」の要件はどこにもない。
問われるのは実際に耕すかどうかだ。
2023年4月に消えたもの、残ったもの
2023年(令和5年)4月1日、「農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する法律」(令和4年法律第56号)の施行により、農地法の下限面積要件が廃止された。
かつては、取得後の経営面積が原則50a(5,000㎡)以上、北海道は2ha以上でなければ許可が下りなかった。農業委員会が独自に定めていた「別段の面積」も同時に消えた。
静岡県御前崎市の農業委員会は「これに伴い、御前崎市農業委員会が定めていた別段面積(御前崎地区では20アール、浜岡地区では50アール)も廃止されます」と告知している。
同市は続けて「ただし、その他の許可要件(全部効率利用要件、常時従事要件、地域との調和要件)については、引き続き継続となりますのでご注意ください」とも書いている。
| 2023年3月31日まで | 2023年4月1日以降 | |
|---|---|---|
| 下限面積要件 | 原則50a(北海道2ha) | 廃止 |
| 農業委員会の別段面積 | 市町村ごとに設定(10a〜30a等) | 廃止 |
| 全部効率利用要件 | あり | あり |
| 農作業常時従事要件 | あり | あり |
| 地域との調和要件 | あり | あり(地域計画との整合で強化) |
| 家庭菜園目的の取得 | 面積で事実上不可 | 可能(さいたま市の説明) |
変わったのは「小さいから買えない」だけだ。農地法第1条の「農地を効率的に利用する耕作者による地域との調和に配慮した農地についての権利の取得を促進し」という思想は、そのまま生きている。
この改正を受けて国土交通省は2024年10月4日に「『農地付き空き家』の手引き」を改訂している。
理由として「令和5年4月1日に施行された農地法等の改正により農地の権利取得時の下限面積要件が廃止されたこと等」を明記した。
それ以前の解説は古い可能性がある。
「裏ワザ」と検索される4パターンと、その正体
① 農家の名義を借りて買う → 違法。しかも取り返せない
農地法第64条第2号は「偽りその他不正の手段により、第三条第一項……の許可を受けた者」を、無許可の場合と同じ3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金の対象としている。
名義貸しはこれに当たる。
しかも登記名義人がその農地の所有者になる。
金を出したのが自分だという事実だけでは、土地は戻ってこない。
② 地目が農地じゃなければセーフ → 現況で見るので通らない
農地法第2条第1項は「この法律で『農地』とは、耕作の目的に供される土地をいい……」と定義している。登記簿の地目ではなく、現に耕作に使われているかどうかで判断される(現況主義)。
買う前に、その土地が農地台帳に載っているかを確認しておく。
農林水産省のeMAFF農地ナビで、全国の農地台帳・農地地図を閲覧できる。
③ 宅地に転用してから買えばいい → 青地で止まる
これは農地法5条(転用のための権利移動)の世界で、3条とは別の許可だ。
許可権者も都道府県知事等になる。
農林水産省は「農業振興地域制度とは、市町村が将来的に農業上の利用を確保すべき土地として指定した区域で農地転用は禁止されています」と説明している。
農地法5条2項1号イも、農用地区域内の農地は許可できないと定める。青地は、原則として転用できない。
例外は市街化区域だ。
農地法4条1項7号・5条1項6号により、あらかじめ農業委員会に届け出れば、許可なしに転用できる。
ただし市街化区域の農地は宅地並みに値が張る。
④ 農地付き空き家なら特例で買える → その特例はもう存在しない
「空き家に付いている農地は下限面積が緩和される」は、2023年3月31日までは正しかった情報だ。
下限面積要件そのものが廃止され、別段面積の要綱も各農業委員会で廃止されている。
「特例で緩和」ではなく「そもそも面積のハードルがない」のが現在の姿で、空き家に隣接していない離れた農地でも取得できるようになった。
詳しくは農地付き空き家の探し方にまとめてある。
(番外)相続なら許可は要らない——ただし届出は必要
相続や遺産分割で農地を取得する場合は、3条の許可の対象外だ(遺産分割や財産分与による取得は農地法3条1項12号)。
ただし農地法第3条の3により、取得した者は遅滞なく、その農地が所在する市町村の農業委員会に届け出なければならない。
税金まわりは農地の相続税はいくらかかるのかにまとめている。
(PR) 条文を自分で読めるようにしておく
農地の話は、ネットの解説記事より条文と自治体の告知のほうが早い。とはいえ農地法はいきなり読むと骨が折れるので、手元に入門書を1冊置いて用語の地図を作っておくと、農業委員会での相談が驚くほどスムーズになる。
農家以外の個人が、現実に通れる入口3つ
入口1:農業委員会に事前相談して、3条許可で普通に買う
いちばん正面の道だ。
段取りはこうなる。
- 土地を決める前に、農業委員会へ行く。さいたま市も上越市も、公式ページで申請書作成前の事前相談を求めている。
- 農地の素性を調べる。eMAFF農地ナビで地番・地目・面積・権利関係・遊休農地かどうかを見る。青地かどうかも確認する。
- 営農計画書を書く。さいたま市は添付書類として営農計画書の様式(記入例つき)を公開している。上越市も、審査上「求められることがある」参考書類の例に挙げている。
- 申請し、月例の総会・農地部会を待つ。
入口2:買わずに、借りる(そして市民農園から試す)
私が最も勧める順番がこれだ。
10aを買えば全国平均103万1千円。
同じ10aを借りると、各市町村の農業委員会が公表している賃借料情報の実例(新潟県長岡市・さいたま市・岐阜県高山市の平均額)では年2千円〜2万円台だ。
合わなければ期間満了で返せる。
自分と家族が食べる分の野菜が目的なら市民農園が最短だ。特定農地貸付けに関する農地法等の特例に関する法律により、①10アール未満、②営利を目的としない栽培、③貸付期間5年以内——この3条件を満たす貸付けは、農地法の権利移動の許可を受けずに行える(開設には農業委員会の承認が必要で、相当数の利用者に定型的な条件で貸すことも要件)。
農林水産事務次官依命通知は、10アールの線引きを「本来の農業を行う場合とそれ以外の場合との区切り」と説明している。
借り方は農地を個人で借りるには?賃料相場(田9,400円/10a)と窓口に、市民農園は市民農園の料金相場に整理してある。
入口3:農地バンクの特例事業(農地売買等事業)で買う
農地中間管理機構(農地バンク)が、離農・規模縮小する農家から農地を買い入れ、調整した上で売り渡す事業がある。根拠は農業経営基盤強化促進法第7条だ。福島県農業振興公社(同県の農地バンク)の案内によれば、買い手側のメリットはこうだ。
- 登録免許税の税率が20/1000から10/1000に軽減される(農用地区域のみ)
- 不動産取得税の1/3相当額が控除される(農用地区域のみ)
- 所有権移転登記は公社が行う
登録免許税の軽減は租税特別措置法第77条が根拠で、適用期限は令和10年(2028年)3月31日まで(令和8年度税制改正で2年延長)。
ただし、このルートは担い手向けの色が濃い。
福島県の案内も「農地バンクは、地域の話し合いによって市町村が策定した地域計画に基づき売買を行います」としている。
申込から売買代金の支払いまで約5〜6か月かかり、買受者には諸経費として売買代金の概ね2%の負担がある。
就農側から入る段取りは新規就農 完全ロードマップにまとめている。
手続きの流れと、かかる時間
多くの市町村で、農業委員会の総会・農地部会は月1回だ。
| 段階 | やること | 目安 |
|---|---|---|
| 1 | 農業委員会へ事前相談 | 土地を決める前に |
| 2 | 申請書・営農計画書の作成 | 添付書類が多い |
| 3 | 申請書の提出(月次の締切) | さいたま市は毎月15日/上越市は毎月10日 |
| 4 | 審査・現地調査 | 農業委員が現地を見る |
| 5 | 農業委員会の総会・農地部会で議決 | 月1回 |
| 6 | 許可書の交付 | さいたま市の標準処理期間は30日 |
| 7 | 所有権移転登記 | 司法書士に依頼するのが通例 |
締切を過ぎれば、結論は翌月送りになる。作付けの時期から逆算して相談を始めたい。
買った後にかかるお金——登記・税金・そして「放置」の罰
登録免許税。国税庁のタックスアンサー(令和8年4月1日現在法令等)によれば、土地の売買による所有権の移転登記は本則1,000分の20、令和11年3月31日までに登記を受ける場合は1,000分の15に軽減される。課税標準は固定資産課税台帳の価格だ。農地バンク経由なら1,000分の10になる。
不動産取得税は都道府県税で、農地バンク経由の取得なら1/3相当額が控除される(農用地区域のみ)。
固定資産税。一般の農地は農地評価・農地課税だ。ただし農林水産省の資料によれば、農業委員会から「農地中間管理機構と協議すべきこと」を勧告された農業振興地域内の遊休農地は、評価額の計算で限界収益率0.55を乗じないこととされ、結果的に固定資産税が1.8倍になる(平成29年度から実施)。勧告は「機構への貸付けの意思を表明せず、自ら耕作の再開も行わないなど、遊休農地を放置している場合に限定される」。遊休が解消されるか機構が借り受ければ、勧告は撤回される。
さいたま市の農業委員会は、公式ページにこう書いている。
一度取得すると手放すことが難しい農地もありますので、取得前に相続後のこともよくご検討ください。
補助金はあるのか——「農地を買う」ことへの直接補助は、原則ない
農地の取得費そのものを直接補助する国の制度は、原則として存在しない。
青年等就農資金は、認定新規就農者が使える無利子融資で、限度額3,700万円(特認1億円)・償還17年以内・全期間無利子。だが日本政策金融公庫の案内には「農地等の取得費用は対象となりません」とある。農地を取得する場合は経営体育成強化資金(有利子)を案内される。
農林水産省の新規就農者育成総合対策には、49歳以下を対象に次の資金がある。
- 就農準備資金……道府県農業大学校や先進農家等で研修を受ける期間中、月13.75万円(年間最大165万円)を最長2年間
- 経営開始資金……就農後、経営が安定するまでの最大3年間、月13.75万円(年間165万円)
農地の購入に関して国が用意しているのは、登録免許税と不動産取得税の軽減という税の支援だ。
自治体の空き家・移住関連の補助は金額も要件も市町村ごとに違うので、移住先の担当窓口に直接聞いてほしい。
(PR) 農地を持つと、翌年から「申告」が始まる
農地を買って作物を売り始めた瞬間、それは農業所得になる。種苗費・肥料費・農機の減価償却・固定資産税——手書きの現金出納帳で複式簿記まで組み直すのは、正直しんどい。マネーフォワード クラウド確定申告なら銀行・カードを連携するだけで取引が自動で取り込まれ、青色申告の土台になる複式簿記の帳簿が出来上がっていく。1ヶ月の無料お試しができ、クレジットカード登録も不要だ。
申告の手順は、農業の確定申告のやり方(青色申告65万円控除)にまとめてある。
さんぼう君の視点:農地は、持て余したときに本性を出す
農地は、買うときより持て余したときに本性を出す。草は毎年伸び、刈らなければ隣の田畑に迷惑がかかる。手放そうにも、買い手が減り続けている土地だ。
制度が「効率的に利用するか」「常時従事するか」を残したのは、本人と地域の両方を守るための線だと私は思う。
順番としては、市民農園で1年 → 借りて1反 → それでも足りなければ買う。
これが後悔の少ない階段だ。
よくある質問(FAQ)
Q. 家庭菜園が目的でも、農地は買えますか?
買える可能性があります。
ただし全部効率利用・農作業常時従事・地域との調和の3要件は残るため、面積に見合った営農計画を示せることが前提です。
自家用だけが目的なら、市民農園のほうが軽く済みます。
Q. 会社員(サラリーマン)でも買えますか?年間150日も働けません。
農地法に「専業でなければならない」という規定はありません。150日は絶対の足切りではなく、面積・作物と労力が釣り合っているかの判断です。
可否は農業委員会の判断なので、事前相談で働き方を伝えてください。
Q. 農家以外・資格なしでも買えますか?
買えます。農地法3条に「資格」という要件はありません。
ただし法人は別扱いで、農地所有適格法人以外の法人は原則として農地を所有できず、解除条件付きの賃借(農地法3条3項)に限られます。
Q. 農地購入の「裏ワザ」はありますか?
ありません。名義貸しは罰則付き、地目逃れは現況主義で通らず、転用は青地で止まり、農地付き空き家の特例は2023年4月に制度ごと廃止済みです。合法の道は「借りる」「市民農園」「農地バンクの特例事業」「相続(3条の3の届出は必要)」です。
Q. 農地の購入に補助金は出ますか?
取得費そのものへの直接補助は、原則としてありません。あるのは49歳以下向けの就農準備資金・経営開始資金と、登録免許税・不動産取得税の軽減です。
Q. 北海道の農地は安いと聞きました。本当ですか?
単価は安いです。
令和7年調査で北海道は中田23万5千円・中畑11万2千円(10a当たり)。
かつての下限面積2haも2023年4月に廃止されています。
Q. 買った農地を耕さずに放置したらどうなりますか?
遊休農地と判断されると利用意向調査が入ります。
それでも放置すると農地中間管理機構と協議すべきことを勧告され、農業振興地域内なら固定資産税が結果的に1.8倍になります。
Q. 相続で農地を取得する場合も許可が要りますか?
3条の許可は不要です。ただし農地法第3条の3により、遅滞なく農業委員会へ届け出なければなりません。
まとめ──買えるようになった。だからこそ、買う前に借りる
- 農地の購入には農業委員会の許可(農地法3条)が要る。残る要件は3つで、「資格」は要らない
- 「裏ワザ」は4つとも使えない。合法の入口は3条許可・借りる・農地バンク
- 農地取得への直接補助はない。放置すれば固定資産税が1.8倍になる仕組みもある
まずは買いたい地域の農業委員会に相談を。
そこから先は、マイペースでいい。
📚 参考・出典(18件・すべて2026年9月9日確認)
法令の条文はe-Gov法令検索の現行条文、統計は公表元の一次資料、手続きの締切・処理期間は各市町村の農業委員会が公表しているものを確認した。税の特例には適用期限があり、年度の税制改正で変わる。本記事の整理は一般的なもので、個別の取得可否・税額を保証するものではない。
- e-Gov法令検索「農地法」(昭和27年法律第229号・現行条文) https://laws.e-gov.go.jp/law/327AC0000000229 ― 第1条(目的)、第2条第1項(農地の定義=耕作の目的に供される土地)、第3条第1項(農業委員会の許可)・第2項第1号(全部効率利用)・第4号(農作業常時従事)・第6号(地域調和)・第3項(解除条件付き貸借)・第6項(許可を受けないでした行為は効力を生じない)、第3条の3(相続等による取得の届出)、第4条第1項第7号・第5条第1項第6号(市街化区域は届出)、第5条第2項第1号イ(農用地区域内は不許可)、第32条(利用意向調査)、第64条(3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金)
- e-Gov法令検索 租税特別措置法 第77条(現行) ― 登録免許税 千分の十・適用期限 令和10年3月31日
- 農林水産省「地域計画(地域農業経営基盤強化促進計画)」 ― 令和7年3月末までの策定・目標地図
- さいたま市「農地の売買、贈与、貸借等の許可(農地法第3条)」2026年3月13日更新 https://www.city.saitama.lg.jp/005/002/002/p041180.html ― 3要件の実務解説、常時従事は原則年150日以上だが下回っても認められる場合がある旨、地域計画内の農地の協議、毎月15日締切・標準処理期間30日、「令和5年度法改正により、農業従事者以外の方が家庭菜園などを目的に農地を取得できるようになりました」、「一度取得すると手放すことが難しい農地もあります」
- 新潟県上越市「農地の売買、贈与、賃貸借等の手続き(農地法第3条)」2026年5月13日更新 https://www.city.joetsu.niigata.jp/soshiki/jonogyo/3jyou.html ― 無許可の行為は無効、毎月10日締切、農地部会での議決、農地所有適格法人以外の一般法人は解除条件付きの賃借のみ
- 静岡県御前崎市「令和5年4月から下限面積要件が廃止されました(農地法第3条許可)」 https://www.city.omaezaki.shizuoka.jp/soshiki/norinsuisan/nogyoinkai/kagemmenseki.html ― 令和5年4月1日施行(令和4年法律第56号)、農業委員会が定めていた別段面積(20a・50a)も廃止、その他3要件は継続
- 一般社団法人全国農業会議所「令和7年田畑売買価格等に関する調査結果(要旨)」(令和8年3月19日公表) https://www.nca.or.jp/upload/denpata_r7_youshi.pdf ― 純農業地域の中田103万1千円・中畑76万3千円(10a当たり)、ブロック別価格(北海道中田235千円・中畑112千円ほか)、平成7年以降31年連続下落、平成6年比48.5%下落、下落要因1位「農地の買い手の減少や買い控え」中田35.4%・中畑41.1%、都市的農業地域の中田263万9千円・中畑250万8千円と同53.2%・55.2%、調査時点は令和7年5月1日で70回目
- 新潟県長岡市農業委員会「令和7年度分 長岡市農地賃借料情報」 https://www.city.nagaoka.niigata.jp/shisei/cate04/nougyou/kosaku.html ― 市内全域の平均額(10a当たり年額)は30a未満の田13,800円・50a以上の田20,000円・畑5,300円(2026年10月1日確認)
- さいたま市「農地の賃借料情報」 https://www.city.saitama.lg.jp/005/002/002/p079250.html ― 令和7年1〜12月締結分の平均額は田5,600円・畑8,200円(10a当たり年額。2026年10月1日確認)
- 岐阜県高山市農業委員会「農地の賃借料情報の公表について(令和7年12月末現在)」 https://www.city.takayama.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/002/641/r8_tinsyakuryo.pdf ― 市全体の平均額は田2,100円・畑4,000円(無償の貸借を0円として集計。2026年10月1日確認)
- 農林水産省「農業振興地域制度及び農地転用許可制度」 https://www.maff.go.jp/j/nousin/noukei/totiriyo/index.html ― 「農業振興地域制度とは、市町村が将来的に農業上の利用を確保すべき土地として指定した区域で農地転用は禁止されています」
- 農林水産省「遊休農地の課税の強化」 https://www.maff.go.jp/j/keiei/koukai/attach/pdf/yukyu-59.pdf ― 協議勧告を受けた農業振興地域内の遊休農地は評価額に0.55(限界収益率)を乗じない=結果的に1.8倍、平成29年度から実施、勧告の対象と撤回の要件
- 農林水産省「農地中間管理機構の事業の特例(農業経営基盤強化促進法第7条)の概要」 https://www.maff.go.jp/j/keiei/koukai/ryuudouka/pdf/06_tokurei_gaiyou.pdf ― 機構が農地を買い入れて売り渡す事業の仕組み
- 公益財団法人福島県農業振興公社(福島県農地中間管理機構)「農地中間管理機構特例事業による農地の売買について」 https://fnk.or.jp/baibai/ ― 買い手の登録免許税20/1000→10/1000、不動産取得税1/3控除(いずれも農用地区域のみ)、所有権移転登記は公社が実施、買受者の諸経費は概ね2%、申込から支払まで約5〜6か月、地域計画に基づき売買を行う旨
- 財務省「令和8年度税制改正の大綱(2/9)」 https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2026/08taikou_02.htm ― 「農用地利用集積等促進計画に基づき農用地等を取得した場合の所有権の移転登記に対する登録免許税の税率の軽減措置の適用期限を2年延長する」
- 国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」(令和8年4月1日現在法令等) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7191.htm ― 土地の売買による所有権移転登記は本則1,000分の20、令和11年3月31日までは1,000分の15(措法72)、課税標準は固定資産課税台帳の価格
- 日本政策金融公庫「青年等就農資金」 https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/seinen.html ― 認定新規就農者向け、融資限度額3,700万円(特認1億円)、償還17年以内(据置5年以内)、全期間無利子、「農地等の取得費用は対象となりません」、農地取得は経営体育成強化資金(有利子)
- 農林水産省「就農準備資金・経営開始資金」 https://www.maff.go.jp/j/new_farmer/n_syunou/roudou.html ― 49歳以下が対象、就農準備資金は月13.75万円(年間最大165万円)を最長2年、経営開始資金は月13.75万円(年間165万円)を最大3年
- 農林水産省「特定農地貸付けに関する農地法等の特例に関する法律の施行について」(農林水産事務次官依命通知) https://www.maff.go.jp/j/nousin/kouryu/tosi_nougyo/attach/pdf/s_houritsu-20.pdf ― 特定農地貸付けの3要件(10アール未満・営利を目的としない・5年を超えない)、10アールを区切りとする理由、入園契約方式
- 国土交通省「『農地付き空き家』の手引きを改訂しました!~農地取得時の『下限面積要件』の廃止等に対応~」(令和6年10月4日) https://www.mlit.go.jp/report/press/totikensangyo02_hh_000162.html ― 令和5年4月1日施行の農地法等改正により下限面積要件が廃止されたことに対応した手引きの改訂
- 農林水産省「eMAFF農地ナビ」 https://map.maff.go.jp/ ― 農地台帳・農地地図の一般公開
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この記事は、農業と畜産を営む家で育った経験と、飼料営業として担当エリアの現場で見聞きしたことに基づいています。 個別の経営判断は、必ず担当の税理士・士業・JA・農業委員会等にご相談ください。
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