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【2026年9月版】農業の確定申告のやり方|青色申告65万円控除の条件と手順を現場目線で解説

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【2026年9月版】農業の確定申告のやり方|青色申告65万円控除の条件と手順を現場目線で解説
📑 目次

※本記事はプロモーションを含みます。

農業の確定申告は、一般用ではなく「農業所得用」という専用の様式で出す。

青色申告65万円控除の条件は、複式簿記・貸借対照表と損益計算書の添付・e-Taxでの期限内提出の3つだ(2026年分まで)。

税の知識より先に「順番」を知っておくと、手が止まりにくくなる。

本記事では5ステップの手順と、農家だけがつまずく落とし穴を整理する。

結論:農業の確定申告は「農業所得用の様式」で出す。65万円控除の分かれ目は3つだけ。
①複式簿記で記帳し、②貸借対照表と損益計算書を添付し、③e-Taxで期限内に提出する(または優良な電子帳簿の保存)。この3つが揃って65万円、e-Taxを使わなければ55万円、複式簿記でなければ10万円だ(2026年分まで)。さらに2027年分からは控除額が75万円・65万円に改正され、前々年の売上が1,000万円超で簡易簿記の人は10万円控除からも外れる。
そして最大の落とし穴は控除額ではなく「青色申告承認申請書の提出期限」。ここを逃すと、どれだけ完璧な帳簿をつけても白色申告になる。

注:本記事は2026年8月1日時点の国税庁の公表資料をもとに整理し、2026年9月22日に再確認した(令和7年分の手引きが最新で、令和8年分のページはまだ公開されていない)。申告の際は必ず国税庁のページと所轄の税務署で最新の内容を確認してほしい。

農業の確定申告は「農業所得用」の様式で出す

農業を営む個人の所得は、原則として事業所得(農業)になる。

一般の商売と違うのは提出する書類である。

どちらも国税庁が一般用とは別に用意している様式で、一般用の決算書にはない欄がある。

農業所得用にしかない主な欄何を書くか
農産物の期首棚卸高/期末棚卸高1月1日・12月31日時点で未販売の農産物
家事消費・事業消費金額自家用に食べた分、雇人への現物支給分
販売用動物販売目的で飼う牛・馬・豚・鶏など
経費から差し引く果樹牛馬等の育成費用育成中のものにかかった費用
肉用牛について特例の適用を受ける金額免税特例を使う場合の記載欄

【最重要】青色申告は「申請書の期限」で勝負が決まっている

青色申告をするには、事前に「所得税の青色申告承認申請書」を税務署へ出しておく必要がある。

国税庁が示す期限は次のとおりだ。

原則として、青色申告の承認を受けようとする年の3月15日まで。 その年の1月16日以後に新たに業務を開始した場合は、業務を開始した日から2か月以内。

「今年の分から青色にしよう」と12月に思い立っても、もう間に合わないのである。

立ち位置を整理すると、こうなる。

あなたの状況2026年分(2027年2〜3月申告)の扱い
すでに青色申告の承認を受けている✅ 65万円控除を狙える。あとは帳簿次第
承認申請を出していない既存農家❌ 2026年分は白色。2027年3月15日までに申請すれば2027年分から青色
2026年6月以降に新規就農・開業した⭕ 開業日から2か月以内なら2026年分から青色に間に合う(下記の注意)

新規開業の人は、開業日に2か月を足して、カレンダーで数えてほしい。

6月1日開業なら期限は8月1日だ。開業届と青色申告承認申請書はセットで出すと覚えておきたい。

新規就農の全体の流れは「新規就農のロードマップ」に整理してある。

65万円・55万円・10万円の分かれ道(2026年分まで)

青色申告特別控除は3段階ある。

控除額必要な条件
65万円55万円の要件すべて+e-Taxで期限内に提出、または優良な電子帳簿の要件を満たして保存し届出書を提出
55万円複式簿記(正規の簿記の原則)で記帳+貸借対照表・損益計算書・所得の金額の計算に関する明細書を添付し、控除を受ける金額を申告書に記載して期限内申告
10万円上記に当てはまらない青色申告者

65万円と55万円の差は「提出方法」だけだ。帳簿の手間は同じで、紙で出すか e-Tax で出すかで10万円が変わる。

55万円・65万円を取るには期限内申告が条件で、遅れると10万円まで落ちる。

確定申告の期間は原則として翌年2月16日から3月15日まで(期限が土日の場合は翌開庁日)。

【2027年分から】控除額が75万円・65万円に変わる

令和8年度税制改正により、青色申告特別控除そのものが見直された。適用は令和9年分(2027年分)以後の所得税から、つまり2028年の申告からだ。

区分2026年分まで2027年分から
複式簿記+貸借対照表等+e-Tax65万円65万円
上記+優良な電子帳簿の保存等65万円75万円
複式簿記だが紙で提出55万円10万円まで落ちる(55万円の区分が廃止)
簡易簿記など10万円10万円(ただし除外あり)

財務省の大綱には、55万円控除にe-Tax要件を加えたうえで控除額を65万円に引き上げる、65万円控除は仕訳帳・総勘定元帳の電磁的記録の保存等を要件に加えたうえで控除額を75万円に引き上げると示されている。

農家が気をつけるべきなのは、引き上げよりも10万円控除の「除外規定」のほうだ。

10万円の青色申告特別控除の対象者から、その年において不動産所得又は事業所得を生ずべき事業を営む者で、これらの所得に係る取引を簡易な簿記の方法により記録しているもののうち(中略)その者が事業所得を生ずべき事業を営む者である場合 その年の前々年分の事業所得に係る収入金額が1,000万円を超えるもの(を除外する)

つまり前々年の売上が1,000万円を超える農家が簡易簿記のままでいると、2027年分からは控除がゼロになりうる。

これからは「複式簿記+e-Tax」が標準になる。 なお本改正は2027年分以後の話で、いま記帳している2026年分は前章のルールで判定される。

青色申告のその他の特典(専従者給与、純損失の3年繰越しなど)や、青色申告会に入るべきかの判断は「青色申告会って入る必要ある?」で比較している。

農業の確定申告5ステップ

STEP1|青色申告承認申請書を出す(青色にしたい年の3月15日まで/開業から2か月以内)

前章のとおり。

すでに出してある人はSTEP2へ。

なお相続で農業を引き継いだ場合は期限が別に定められている。

被相続人が白色で、その年の1月16日以後に承継したなら承継した日から2か月以内、被相続人が青色なら死亡日が1月1日〜8月31日なら死亡の日から4か月以内、というように死亡日で変わる。

引き継いだ年は税務署で確認してほしい。

STEP2|1年を通して帳簿をつける(今この瞬間の作業)

65万円・55万円控除には複式簿記が必要になる。

農業は種苗費、素畜費、肥料費、飼料費、農具費、農薬衛生費など勘定科目が多い。

手書きの現金出納帳から決算書を組むのは現実的ではなく、道具に任せるところだ。

STEP3|年末に棚卸しと決算整理をする(12月31日)

農業所得の決算整理は、一般の商売より項目が多い。

  • 農産物の期末棚卸高(12月31日時点で未販売のもの)
  • 未収穫農産物、販売用動物、種苗・飼肥料・農薬・諸材料などの棚卸高
  • 減価償却費の計算
  • 育成中の果樹・牛馬等の育成費用の振り分け

STEP4|青色申告決算書(農業所得用)を作る(1〜2月)

収入金額の内訳、経費の内訳、雇人費、専従者給与、減価償却、貸借対照表を埋めていく。

ここで壁がある。 クラウド会計ソフトには、農業所得用の決算書様式に対応していないものがある。マネーフォワード クラウド確定申告も、公式サポートで「青色申告決算書(農業所得用)」「収支内訳書(農業所得用)」の作成には対応していないと明記している。

確実で無料なのが国税庁の「確定申告書等作成コーナー」だ。農業所得用に対応しており、手引き自体が「スマホで青色申告決算書が作れます」と案内している。農業所得用の様式に対応した会計ソフトもあり、JAの記帳指導や青色申告会に任せる道もある。

現実的な分担はこうなる。

作業使うもの
日々の記帳・仕訳・経営数値の把握会計ソフト
農業所得用の決算書・申告書の作成と送信国税庁の確定申告書等作成コーナー

ソフトは帳簿と数字管理の道具と割り切って使えばいい。

STEP5|e-Taxで期限内に提出する(2月16日〜3月15日)

マイナンバーカードとスマホがあれば、自宅から送信できる。

ここでe-Taxを選ぶことが、そのまま65万円控除の要件を満たす。

マネーフォワード クラウド確定申告は、銀行・カードを連携するだけで取引が自動で取り込まれ、複式簿記の帳簿がそのまま出来上がっていく。前述のとおり農業所得用の決算書様式そのものには対応していないが、65万円控除の土台になる「複式簿記の記帳」を自動化できるのが本来の使いどころだ。 1ヶ月の無料お試しができ、クレジットカード登録も不要だ。まずは自分の帳簿で使い勝手を確かめられる。

農家だけがつまずく落とし穴5つ

国税庁の「青色申告決算書(農業所得用)の書き方」に沿って、迷いやすいところを挙げる。

① 自家用に食べた分も「収入」になる

農産物を自分の家で食べた分、雇人に現物で支給した分は、家事消費・事業消費金額として収入に計上する。

金額は収穫した時の生産者販売価額で計算する。

経費側でも、自給分の種苗・飼料などは収穫時の価額で記入することになる。

② 代金をもらっていなくても、その年の売上

販売した年の扱いについて、国税庁の書き方はこう明記している。

販売後、まだ実際に代金を受け取っていない場合でも本年中に販売したものについては、全て本年分の販売金額になります。

入金日ではなく販売日で切る。年末に出荷して入金が翌年1月、というケースで間違えやすい。

③ 棚卸しは「省略できるもの」がある

12月31日時点の未販売分は棚卸しをするのが原則だが、書き方には例外も示されている。

  • 米麦等の穀物類以外の農産物で、数量が僅かなものは棚卸しを省略しても差し支えない
  • 毎年同程度の規模で作付けする未収穫農産物は棚卸しを省略しても差し支えない

④ 販売用の家畜は「取得価額+育成費用」

販売目的で飼育する牛・馬・豚・鶏などは、取得価額に年末までの育成費用を加算して棚卸しに計上する。

決算書には「経費から差し引く果樹牛馬等の育成費用」という専用の欄があり、各経費科目はこの育成費用を差し引かないところで記入したうえで、専用欄でまとめて差し引く。経費に入れっぱなしにしないこと。

⑤ 共済金・助成金は「雑収入」に入る

受取共済金、出荷奨励金、野菜・鶏卵などの価格差補填金、農作業受託料、事業分量分配金は雑収入である。

さらに書き方にはこうある。

そのほか国や地方公共団体などから支給された助成金等で農業所得として課税の対象となるものがある場合にも、当該助成金等の金額を含めて、この欄に記入します。

補助金を受け取った年は、ここを忘れると申告漏れになる。

申請の流れは「農業・畜産の補助金申請の流れ5ステップ」にまとめてある。

肉用牛を売る人が知らないと損をする免税特例

畜産をやっている人には、肉用牛の売却による農業所得の課税の特例(租税特別措置法第25条)がある。

骨格はこうなっている。

  • 農業を営む個人が、飼育した肉用牛を所定の方法(家畜市場や指定・認定を受けた食肉卸売市場での売却など)で売却したとき
  • その牛が免税対象飼育牛(売却価額が1頭あたり100万円未満。交雑種は80万円未満、乳用種は50万円未満、または一定の登録規程による高等登録牛)で
  • 売却頭数が年間1,500頭以内であれば
  • その売却により生じた事業所得について、所得税・住民税を免除する課税方法を選択できる(通常の総合課税を選ぶこともできるが、その場合は免税にならない)

繁殖農家が誤解しやすい「対象外」の牛

対象にならない代表例を挙げる。

  • 子取り用雌牛で固定資産に該当するもの——繁殖用に供している母牛は減価償却資産であり、その売却は譲渡所得になる。この特例は使えない
  • 種雄牛、乳牛の雌のうち子牛の生産に供されたもの
  • 価額が基準以上の牛(肉用種100万円以上・交雑種80万円以上・乳用種50万円以上。ただし高等登録牛等を除く)
  • 飼養期間が2か月未満の牛(極端に短い飼育=単なる転売は対象外)

つまり繁殖農家がこの特例を使う場面は、市場に出す子牛の売却のほうである。「経産牛を廃用で売ったから免税だ」は成り立たない。

売っただけでは免税にならない

手続きも必要だ。

国税庁の決算書の書き方には、こう指示されている。

この場合、確定申告書にこの特例の適用を受ける旨を記入し、証明書及び所得計算の明細書を添付してください。

つまり申告書に書いて、証明書を添付して、初めて免税になる。

なお本特例は令和8年度税制改正で3年延長され、所得税については令和11年分(2029年分)まで、住民税については令和12年度分まで適用されることになった。

要件が細かいので、使う年には最新の要件を確認し、税理士か税務署に相談してほしい。

牛1頭あたりの損益をどう見るかは「牛1頭の価値と損益分岐点」でも扱っている。

帳簿を「税務署のための作業」で終わらせない

営業として農家を回ってきた立場から一つだけ書いておきたい。

飼料の値上げを伝えたとき、数字で即答できる農家と、そうでない農家がいた。

差は帳簿がリアルタイムで見えているかどうかだった。

確定申告のための記帳は、自分の経営の数字を手に入れる作業でもある。

複式簿記の帳簿づけを楽にするなら、マネーフォワード クラウド確定申告が1ヶ月無料で試せる(クレジットカード登録不要)。

決算書は国税庁の作成コーナーで作るとして、その手前の記帳を自動化しておける。

まとめ:今日やることは1つだけ

状況今日やること
青色の承認済み・帳簿が手書き会計ソフトを試して複式簿記に移行する(2027年分からは実質必須)
青色の承認済み・紙で提出していた次はe-Taxにする(2026年分は+10万円、2027年分からは65万円と10万円で差が55万円に広がる)
承認申請を出していないカレンダーに「3月15日:青色申告承認申請書」と入れる
今年就農した開業日+2か月をカレンダーで数える。開業届と青色申告承認申請書を今すぐ出す

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出典・参考(2026年8月1日確認)

※本記事は個別の税務判断を保証するものではない。

判断に迷う場合は所轄の税務署または税理士に相談してほしい。

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この記事は、農業と畜産を営む家で育った経験と、飼料営業として担当エリアの現場で見聞きしたことに基づいています。 個別の経営判断は、必ず担当の税理士・士業・JA・農業委員会等にご相談ください。

この記事を書いた人

さんぼう君

実家は農業と畜産。その実家の「売り先が限られている/やり方次第でもっと稼げるはず」 という課題を追ううちに、畜産・農業経営の知識を深く積み上げてきました。 現場で学んだ「リアルな農業経営」を、業界外の人にもわかる言葉でお伝えしています。

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