黒毛和牛の飼育頭数ランキング|1位は鹿児島・上位3道県に集中
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📑 目次
※本記事はプロモーションを含みます。
黒毛和牛の飼育頭数は、1位が鹿児島県、2位が宮崎県、3位が北海道だ(農林水産省「畜産統計」令和8年2月1日現在)。
松阪牛や神戸ビーフなど、名前が売れている産地とは顔ぶれが一致しない。
飼料・畜産資材の代理店営業として、北海道や鹿児島、宮崎の農家を回ってきた立場から、この数字の読み方を整理する。
飼育頭数の1位は鹿児島県、2位宮崎県、3位北海道(農林水産省の畜産統計より)。ポイントは、「有名なブランド牛の名前」と「頭数が多い産地」は必ずしも一致しないこと。本記事ではTOP10と、なぜ特定の県に集中するのかを現場目線で解説します。
📌 先に「何を数えたランキングか」を明確にしておく。本記事が並べているのは黒毛和種という「品種」の飼養頭数であり、乳用種・交雑種(F1)まで含む「肉用牛全体」のランキングとは母数が違う。数字で言うと、令和8年2月1日現在で肉用牛全体は247万3,000頭、うち肉用種が175万5,000頭、そのうち黒毛和種が172万2,000頭という入れ子だ(農林水産省「畜産統計」)。「肉用牛 都道府県ランキング」を探して来た人は、この記事の順位が肉用牛全体の順位とずれる場合があることを頭に置いて読んでほしい。
なお前年(令和7年2月1日現在)は肉用牛全体が259万5,000頭、肉用種が185万1,000頭だった。1年で肉用牛全体は4.7%減、肉用種は5.2%減と、頭数の縮小は全国規模で続いている(令和8年2月1日現在の畜産統計・2026年7月28日公表)。
黒毛和牛の飼育数ランキング TOP10
農林水産省の畜産統計では、黒毛和種の飼養頭数は都道府県間で大きな差がある。
| 順位 | 都道府県 | 黒毛和種 飼養頭数 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 鹿児島県 | 330,500頭 | 国内最大の黒毛和牛産地 |
| 2位 | 宮崎県 | 207,300頭 | 宮崎牛の産地、規模拡大が進む |
| 3位 | 北海道 | 199,900頭 | 広大な農地、大規模経営が多い |
| 4位 | 熊本県 | 85,800頭 | あか牛(褐毛和種)との複合が多い |
| 5位 | 長崎県 | 69,600頭 | 長崎和牛の産地 |
| 6位 | 沖縄県 | 67,700頭 | 子牛生産(繁殖)が中心 |
| 7位 | 宮城県 | 62,200頭 | 仙台牛など |
| 8位 | 岩手県 | 58,700頭 | 前沢牛など銘柄牛の産地 |
| 9位 | 兵庫県 | 50,800頭 | 但馬牛・神戸ビーフの原産地 |
| 10位 | 佐賀県 | 46,400頭 | 佐賀牛の産地 |
(農林水産省「畜産統計」令和8年2月1日現在・黒毛和種。都道府県別の数値は e-Stat 掲載の統計表「肉用牛 飼養戸数・頭数」より)
上位3道県だけで737,700頭。全国1,722,000頭の約42.8%を、鹿児島・宮崎・北海道の3道県が抱えている計算になる。4位の熊本県が85,800頭であることを考えると、上位3つの厚みは頭ひとつ抜けている。
注:順位は年次で変動しうる。農林水産省の最新統計を確認されたい。
この表の「数字」をどう読むか
- 和牛の主力は黒毛和種:和牛4品種のうち黒毛和種が約98%を占める(令和8年畜産統計:172万2,000頭÷175万5,000頭)。
- 上位に極端に集中している:上位3道県だけで全国の約4割を占める。和牛は「産地が偏る商品」なのだ。
なお「和牛」と「黒毛和牛」「国産牛」の関係がややこしいと感じたら、和牛と国産牛の違いとは?定義・A5・見分け方 で表示ルールごと整理してある。
一、鹿児島県が1位である理由
理由は、気候・ブランド化・組合の支援といった複合要因にある。
- 温暖な気候……冬の寒さが比較的緩やかで、繁殖農家にとって子牛の管理がしやすい
- ブランド構築……官民一体で「鹿児島黒牛」のブランド化を進めてきた
- JAの組織力……飼料・資材の共同購買、家畜市場の運営、補助金申請のサポートまで、組合が農家を支える体制がある
二、宮崎県の躍進──数より質で勝負
宮崎県は2010年の口蹄疫で大きな打撃を受けた。
その後、県・JA・農家が一体となって再建を進め、「宮崎牛」の産地として復活している。
三、北海道の特異性──大規模経営という別世界
北海道は広大な牧草地を持ち、大規模な経営が多い。
一方で、厳冬期の寒さは子牛の管理を難しくし、牛舎設備への投資がかさみやすいという制約もある。
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四、飼育数と「ブランド牛」の違い
飼育数が多い県と、有名なブランド牛の産地は、必ずしも一致しない。松阪牛(三重県)、神戸ビーフ(兵庫県)、米沢牛(山形県)は国内外に名を知られているが、飼育頭数では鹿児島・宮崎・北海道に及ばない。
ブランド牛は「仕上げ」の話
松阪牛は、素牛(もとうし)の産地ではなく、仕上げ(肥育)の産地の代表例だ。
但馬(兵庫)や九州産などの子牛を市場で購入し、三重県の松阪地域で一定期間以上肥育する。
「松阪牛」は生まれの名前ではなく、仕上げの証明にあたる。
一方、神戸ビーフは仕組みが逆だ。
神戸肉流通推進協議会の定義では、もとになる但馬牛は「繁殖から肉牛として出荷するまで当協議会の登録会員(生産者)が本県内で飼養管理し」たものとされ、兵庫県内で生まれてから出荷まで一貫する。
県外の子牛を仕上げても神戸ビーフにはならない(出典:神戸肉流通推進協議会「神戸肉・神戸ビーフの定義」)。
飼育数が多い産地の役割
鹿児島・宮崎・北海道などの大産地が担っているのは、子牛市場への供給という役割だ。
ここで生まれた子牛が家畜市場(セリ)に出荷され、各地の肥育農家に買われていく。
「産む産地」と「仕上げる産地」が分業しているのが、日本の和牛産業の実態である。
五、飼育数が多い県に共通する条件
- 気候……生まれたばかりの子牛は体温調節が未熟で、厳寒地では防寒設備への投資が必要になる
- 農地・草地……粗飼料(牧草・わら類)を自給できれば、飼料コストを抑えやすい
- JA・組合の支援体制……家畜市場の運営、獣医師との連携、補助金申請の支援が整っている地域は続けやすい
- 補助制度の活用……牛舎建設・機械導入などを補助する「畜産クラスター事業」のような制度が、規模拡大を後押ししてきた
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六、今後の産地地図はどう変わるか
農家の高齢化と後継者不足は全国共通の問題で、冒頭のとおり肉用種の頭数は1年で5.2%減っている。
法人化・大規模化や輸出拡大の動きもあり、ランキングは今後変わっていく可能性がある。
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よくある質問(FAQ)
Q1. 黒毛和牛の飼育数が一番多い県はどこですか?
鹿児島県です。2位が宮崎県、3位が北海道と続きます(農林水産省「畜産統計」令和8年2月1日現在)。順位は年次で変動しうるので、正確な頭数は最新の畜産統計で確認してください。
Q2. 松阪牛や神戸ビーフの県が上位に入らないのはなぜですか?
「有名なブランド牛の名前」と「頭数が多い産地」は別物だからです。たとえば神戸ビーフのもとになる但馬牛の兵庫県は、頭数ではTOP10の9位です(令和8年2月1日現在)。頭数の多い産地は「子牛の供給基地」として産業を底支えし、ブランド産地は仕上げで付加価値を生む分業構造になっています。
Q3. 「和牛」と「黒毛和牛」は同じ意味ですか?
厳密には違います。
和牛には4品種ありますが、黒毛和種が約98%を占めるため、実態としては「和牛=ほぼ黒毛和牛」と考えて差し支えありません。
Q4. 牛1頭の利益はいくらですか?
いまの相場では、繁殖も肥育も「1頭あたりの利益はほとんど残らない」水準です。繁殖経営は、子牛の平均売買価格84万3,600円(令和8年度第1四半期)に対して、全算入生産費が約85万円(令和6年)とほぼ同水準で、労働費を含めない物財費ベースでようやく利益が残る計算。統計でも、和牛肥育牛は売値128万9,233円に対し生産費137万5,264円で、1頭あたり約8万6,000円のマイナス(令和6年統計)。「和牛は高く売れる」ことと「儲かる」ことは別の話です。計算の中身は牛1頭の価値と損益分岐点──「赤字牛」を見抜く経営術にまとめています。
Q5. 牛は1頭いくらで売れますか?
「どの段階の牛か」で5倍以上変わります。生まれたての初生牛(ヌレ子)は、ホクレン(北海道)の家畜市場の2026年7月の価格で、黒毛和種のオスが約49万8,000円、ホルスタインのオスが約9万4,000円。セリに出る子牛(素牛)は黒毛和種84万3,600円、交雑種46万1,400円、乳用種24万8,600円(2026年4〜6月)。肥育を終えた出荷牛は和牛去勢A-5で約137万円、乳用種去勢B-2で約58万円です。段階別・品種別の一覧は牛は一頭いくら?子牛84万円・肥育牛129万円の最新相場に並べてあります。
Q6. 日本の5大ブランド牛は?
「5大ブランド牛」に公的な定義や国の指定はありません。銘柄牛は各産地の推進協議会などが独自に基準を定めており、「三大」「五大」といった括りは媒体ごとに顔ぶれが変わります。松阪牛・神戸ビーフ・近江牛・米沢牛・前沢牛などがよく挙がりますが、あくまで通称であって、序列や公式ランキングではありません。
Q7. 牛の飼育頭数の世界ランキングは?
本記事では扱いません。国際比較はFAO(国際連合食糧農業機関)のFAOSTATが一次統計になりますが、執筆時点(2026年9月7日)に一次データを直接確認できなかったため、数字を載せていません。必要な場合はFAOSTATで対象年と品目定義を確認してください。
まとめ──産地の実力は「数」だけでは測れない
黒毛和牛の飼育数1位は鹿児島県で、上位3道県に全国の約4割が集中している。
ただし、飼育数が多いこととブランド力が高いことは同義ではない。
数が多い産地は「子牛の供給基地」として産業を底支えし、ブランド産地はその子牛を「仕上げる」ことで付加価値を生んでいる。
参考資料・出典
- 農林水産省「畜産統計調査」https://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/tikusan/index.html
- 農林水産省「肉用牛をめぐる情勢」https://www.maff.go.jp/j/chikusan/shokuniku/lin/index.html
- 農林水産省「畜産をめぐる情勢」https://www.maff.go.jp/j/chikusan/kikaku/lin/l_hosin/index.html
- 農林水産省「畜産統計(令和8年2月1日現在)」(令和8年7月28日公表) https://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/tikusan/pdf/tikusan_26.pdf ― 肉用牛の飼養戸数3万1,800戸・飼養頭数247万3,000頭・肉用種175万5,000頭、および前年(令和7年2月1日現在)の259万5,000頭・185万1,000頭(2026年9月7日確認)
- 農林水産省「畜産統計(令和8年2月1日現在)」統計表(e-Stat 掲載 xlsx) https://www.e-stat.go.jp/stat-search/file-download?statInfId=000040464905&fileKind=0 ― 「肉 (1) 飼養戸数・頭数」の黒毛和種列(都道府県別。47都道府県の合計が全国172万2,000頭と一致することを確認。2026年9月30日確認)
- 国際連合食糧農業機関(FAO)「FAOSTAT」 https://www.fao.org/faostat/ ― 牛の飼養頭数の国際比較の一次統計(2026年9月7日時点で本記事では数値を採用していない)
- 農林水産省 畜産局「肉用子牛の平均売買価格について(令和8年度第1四半期)」令和8年7月22日告示(黒毛和種843,600円・褐毛和種736,300円・乳用種248,600円・交雑種461,400円、保証基準価格および合理化目標価格、補給金単価はいずれも「―」) https://www.maff.go.jp/j/chikusan/shokuniku/lin/attach/pdf/index-581.pdf
- ホクレン農業協同組合連合会 家畜販売課「市場集計表(令和8年度・速報版・税込)」(乳牛市場成績一覧表=2026年7月 育成牛358千円・初妊牛631千円・経産牛480千円、令和7年度計 初妊牛684千円/乳用種廃用牛 2026年7月310,704円/ホル初生犢 同94,469円/黒毛和種雄初生 同498,064円/乳用交雑(F1)雄初生 同178,538円/肉牛市場情報7月版 十勝地区黒毛去勢計 平均体重353kg・平均919千円・2,607円/kg、南北海道地区去勢計 344kg・882千円・2,561円/kg、南北海道地区 黒毛 繁殖・廃用 平均615千円) https://www.kachiku.hokuren.or.jp/Downloadresult.aspx
- 農畜産業振興機構(ALIC)「令和6年『畜産物生産費統計』について」(畜産の情報2026年2月号。農水省公表は令和7年12月19日。去勢若齢肥育牛 全算入生産費1,375,264円・もと畜費713,400円〈52.0%〉・飼料費479,085円〈34.9%〉・販売価格1,289,233円/交雑種肥育牛 818,721円・799,150円/乳用雄肥育牛 553,847円・485,740円/搾乳牛 全算入生産費1,008,759円、北海道962,383円・都府県1,067,070円) https://www.alic.go.jp/joho-c/joho05_004072.html
- みんなの農業広場「令和6年肉用牛生産費」2025年12月22日(子牛1頭当たり全算入生産費852,345円ほか区分別一覧) https://www.jeinou.com/topics/2025/12/22/090600.html
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この記事は、農業と畜産を営む家で育った経験と、飼料営業として担当エリアの現場で見聞きしたことに基づいています。 個別の経営判断は、必ず担当の税理士・士業・JA・農業委員会等にご相談ください。
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